第1章 ※笑顔の裏側
杏「俺に言わせるのか。」
「言えるはずです。話し合う為にこの部屋へ入ったのでしょう?」
清宮も少し眉を寄せながらそう返すと杏寿郎は小さく息をついて腕組みをする。
杏「君の想いについてだ。」
「想いって……それは…、つまり…、」
杏「次は俺の番だ。今夜は全て明らかにさせてもらうぞ。まずは先程答えなかった質問に答えてくれ。この隊服はどうしてここにある。」
「それを私に言わせるのですか…。」
杏「君、先程の俺と同じ事を言っているぞ。」
「ですが、だって…この話の流れでその質問はあまりにも意地が悪いのでは……。」
そう消え入りそうな声で言うと杏寿郎は首を傾げた。
その様子を見て清宮は杏寿郎が何かを誤解しているのだと悟る。
「すみません、答えて下さい。」
杏「今は俺が、」
「先程の質問についてなんです。正しくない可能性があって…。」
清宮の空気がどことなく変わったのを察した杏寿郎は不可解そうな顔をしながらも頷いた。
それを見た清宮は喉をこくりと鳴らしてから口を開く。
「私の想い人はどなただと聞きましたか。」
杏「誰も何も……聞くまでもない。彼と君は恋仲なのだろう。」
「……………………違います。……違いますよ。」
呆然としながら答え、杏寿郎が目を大きくさせる中 清宮は頭の整理を始めた。