第1章 ※笑顔の裏側
(何で…?まだ来るはずじゃないのに…。)
清宮は股にぬるりとした独特の感触を覚えて月経帯を手に手洗いへ急いでいた。
(でもお布団を汚す前で良かった。)
タンッと手洗いの戸を閉めると清宮は状況を確かめ、襦袢も汚れていない事にほっと息をつく。
(さっきので体がびっくりしてしまったのかしら…。)
そんな事を思い首を傾げながらも手洗いを出る。
すると光る赤い目が自身を見下ろしていた。
ヒュッと清宮の気管が音を立てる。
杏「随ぶ、」
―――ドタッ、ガンッッ
杏「大丈夫か!!」
「…………あ、ぅ…。」
見開かれた杏寿郎の光る瞳に驚いた清宮は後退ろうとして自身の足に引っ掛かって尻もちをついた挙句、手を滑らせて仰向けに転がり後頭部を床に打ち付けたのだ。
今は幼い子供のように後頭部を押さえてふるふると震えながら丸くなっている。
その様子を見て杏寿郎は悪いと思いつつ笑ってしまった。
笑われた事により我に返った清宮はハッとして真っ赤になってしまう。
杏「すまない!相変わらず君の行動は読めないな!!」
杏寿郎は合同任務で動く清宮を見ていた為に清宮が悲しい程運動音痴であることを知っていた。
そしてそれを心配すると共に愛おしいとも感じていたのだ。