第1章 ※笑顔の裏側
「で、出なくて良いです…。その…、まだ早いかと……、」
杏「子を作ることがか。」
杏寿郎がそう問うたのは純粋に "何が" 早いのか、主語をはっきりさせたかったからだ。
しかし清宮は『結婚の条件を思い出せ』と言われたように感じた。
そして再び瞳を暗い色に染めるとのそりと立ち上がる。
そして杏寿郎の布団脇に膝をつくと頭を下げた。
「知識が足りず至らない事が多いと思います。どうぞ導いて下さい。」
杏「………ああ。」
杏寿郎は清宮の絶望にも近い瞳の色を見て萎えてしまいそうになりながらも清宮を布団に招き入れ、清宮の頬におそるおそる手を当てる。
杏「柔らかいのだな。」
そう不思議そうに言われると清宮は少し目を伏せて頬を染めた。
「頬を触る必要は…ないかと……。」
杏「………そうだったな。」
杏寿郎は少しでも清宮に暗い顔をさせたくなくて早く済ませてしまおうと互いの寝間着をはだけさせる。
そして横向きになって向かい合ったまま濡れていない清宮のそこへ昂りをあてがい、グッと一気に挿入した。
「…ッッ!!!……ッ!!」
清宮はあまりの痛みに声も出ず、杏寿郎の胸にしがみついて顔を隠したまま動かなくなってしまった。
杏「どうかしたのか。」
杏寿郎が心配そうに問いながら顔を上げさせようとすると痛みから涙を溢してしまっていた清宮はこれ以上心配かけまいと慌てて首を横に振り拒絶する。