• テキストサイズ

ONE MORE CHANCE【東リべ】

第17章 Last chance


「…やっぱお前すげえよ。」

『…』

「伊織は強い…」





私の胸中なんで知る由もない万次郎は続けてそう言う

強い、か…




…未来でもよく言ってたな





─強い奴が好きだった

─どれだけ負けても折れないような、強い奴が





ついぞそんな人に彼は出会えなかった

自分の手で仲間を手折り、1人になった彼を支える強い人は現れなかった




─少なくとも、私ではなかった






「伊織は強いから、逃げたことがない。
だから怖いんだと思う。」

『…』






違うよ、万次郎…

私が強いわけでも、万次郎が弱いわけでもない




私たちは2人とも弱かった

弱かったから、あんな風になったんだ

2人とも、それに気づけなかったから…




頭の中でそう言っても、扉の向こうの万次郎に聞こえるはずもなくて、彼はそのまま言葉を紡ぐ






「伊織、逃げることはさ、怖くねえよ」

『…』

「俺はいつも逃げてる…伊織やケンチン達がそれを許してくれるから…俺は逃げられる。
…だからさ、今度は伊織が逃げろよ。」

『…』

「今度は俺がその分頑張るから。
大丈夫。
逃げたことない分不安で怖いかもしれないけど、俺がなんとかするから。
…いつも伊織がしてくれるみたいに。」

『…』

「俺に全部任せろ」







わからない…

万次郎の言っている意味が、まるでわからない




貴方はどんな顔でそう言っているの?




貴方から見た私は、どんな風に見えているの?
/ 848ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp