第17章 Last chance
「ナオト…ごめん急に……もう帰っていいよ」
「あ、はい…」
誰もいなくなった公園
1人滑り台に座って頭を垂れる
ザザっ
砂が擦れる音
そして街頭に照らされた影が落ちる
「…まだ居たのかよ…
もう、帰れって」
「…」
そう言ってもナオトは何も言わずに帰ろうともしない
…ダメだ…早く帰ってくれ
そうじゃないと…口が勝手に動き出しちまう…
「なぁ…ナオト…
初めてオマエに会った時のこと、覚えてる?」
「…」
「ヒナが死んで…タイムリープして、俺と未来のナオトはあれからずっとヒナを救うために頑張ってきた。
伊織さんと最初オマエすげぇ仲悪くて…見ててヒヤヒヤしてたんだぜ、本当…
お前がマイキーくん殺せとか言うから…」
「…」
「なのに、もう未来には戻れない。
伊織さんも…トリガーだったお前も死んじまった。
……どうすればいい?なんて…お前に聞いてもしょうがないよな…」
こんな…何言ってんだって話だ
我ながらど深夜に呼び出して訳わかんねえこと言って…本当、どうしようもねえ奴だと思う
「そうだ…もう一回過去を変えればいいんだ。
それでナオトも伊織さんも助けて…ヒナも助けて…
すげぇそうだよそうだよ、で、みんな助けたら未来に戻れて……また、失敗して…また失敗して………
…もう、いいや…
俺…もう死のうかな…」
考えれば考えるだけ先が暗くなる
…もう無理だ…何もしたくねえ…このまま消えてしまいてえ…
ピト
「え?」
「大好き」
背中に当たって香るのは、何かの花の香り
ナオトじゃない…!?
「…ヒナ?」
「ウン」
「え?ずっと聞いてたの?」
「ウン
なんかナオトと勘違いしてるみたいだったから。」
頭から冷水ぶっかけられたような…
一気に頭が冷えていく
やべえ…俺未来のことめっちゃ喋ってる…
今更誤魔化しなんか効かねえレベルだぞ…?
どうする…
「…タケミチくん、本当は今いくつ?」
「えっと…26…」
「そっか…
他に何も聞かないから…一つだけ教えて?
未来のタケミチくんは、もうヒナにプロポーズしましたか。」
プロ、ポーズ…?