第16章 Murderers

「…なぁ、タケミっち。
オマエが焦る気持ちはわかるよ？
そりゃお前が必死こいて直してきたものをそのたびに稀咲が全部ぶっ壊してちゃ堪んないよな。」

「…」

「でもな、タケミっち。」




ブニ



「…へ？」

「その顔、やめろ」

「……千冬？」




怒りに打ち震えていたけど、千冬が俺の頬笑思いっきりつねったことで拍子抜けする
今になってヒリヒリと熱を持ったほっぺが痛い




「お前はさ、こう…視野が狭くなりすぎ！
今目の前に稀咲がいるか？
すぐに稀咲と会えるのか？」

「！」

「そもそも、今回の未来が変えられなかった原因だってまだ仮説の段階だ。
稀崎咲がタイムリーパーだっていうのもな。」

「…」

「今大事なのは天竺が何者かって事だ！
稀咲が裏で糸引いてるならなおさらな！
それに、もし稀咲がタイムリーパーならきっと今必死なはずだ。」

「え？なんで？」

「だって未来で死んでんだろ？アイツ」

「！！」




そうだった…忘れてた…！





「ってことはアイツ…未来に帰れねえんだ…
稀咲も今回は失敗してるんだ！」

「まずは稀咲が本当にタイムリープしてんのか確認しねえと始まんねえよ。
稀咲は今や天竺だ。もしかしたらこれから行くアジトにいるかもしれねえ。」

「おーい！
天竺のアジトわかったぞ！」

「乗り込むよ！」

「！はい！」





やることは決まった…仮説だけじゃ進まねえ
何かひとつでも事実を確かめねえと！

スマイリーくんの後ろに乗りながら色んなことを整理する
もう頭がパンクしそうだ
でも…もしかしたら長年の隊長クラスの2人なら何か知ってるのかな…





「天竺ってどんなチームなのか知ってます？」

「あン？最近できたチームってことくらいしか知らねーよ！
なぁ？アングリー」

「うーん…最近できたチームなのにもう神奈川征覇してるとは聞いてるよ。
ヤベェ組織なのは間違いないね。
伊織さんならもう少し色々知ってるかもしれないけど…」

「まぁモッチーみたいなバケモンはそういねぇよ。
あんなのが何人も居たら東卍もヤベェけどな〜」

「へぇ…」





わからないことだらけってことか…
でも…きっと東卍ならどうにかなるはず…
そう信じてとにかく今は自分の仕事を全うしようとバイクに捕まる手に力を込めた