第15章 Merry X'mas
「…え?今マイキーくんなんて言った…?」
「稀咲がクビ?え?なんで?」
「わかんね」
まるで俺の脳内を代弁するかのように周りの戸惑いだらけのつぶやきが耳に入ってくる
稀咲がクビ…
もちろん俺としては願ってもないことだけど…でもなんで急に…
「…一応、稀咲の裏切りは報告した。」
「千冬?」
「でもまさか、マイキーくんがこんな風に出るとは思わなかった。
一度は隊長クラスに上り詰めた奴だぜ?
クビとはな…」
千冬は驚いた様子ながらも淡々とそう言う
「何言ってんだよマイキー?
冗談だろ?」
「冗談でこんなこと言わねえよ。クビだ。」
「…」
「…」
稀咲の焦ったような言葉にも間髪入れずに応じ、更にもう一度クビだと念押しするように言うマイキーくん
…あの稀咲がフリーズしてる…
「オイオイ待てよマイキー」
「半間…」
「稀咲がクビなら当然俺も東卍を出る。
つまりよぉ、東卍総勢450人のうち元メビウス50人と元芭流芭羅300人が全て抜ける!!
そしたら東卍は100人に萎んじまうんだぜ?
それでもいいのか?」
「構わねえ。
そもそも東卍はデカくなりすぎた。」
「…あ?」
「…」
半間のその言葉も一蹴にし、迷いのない目で稀咲達を見下ろすマイキーくん
…急展開すぎて言葉も出ない
「…デカくなりすぎた?
何言ってんだよマイキー!それが東卍の本来の目的だろう!!?」
「ならクリスマス決戦をけしかけたのも東卍をデカくするためか?」
「っ!」
「タケミっち達をけしかけ大寿を殺させるために柚葉にナイフを渡した。
三ツ谷と千冬から全部聞いた。」
ただ淡々と、まるで用意していたかのように言葉を綴るマイキーくん
もう周りの騒めきなんか気にならなかった
「まぁこんなことで稀咲を追い出せるなんて思ってねえけど、、、
証拠は何もねぇからな。」
「いや、証拠ならある。」
「え?」
「場地さん?」
「…伊織が稀咲とはこの件で片をつけるっつったんだ。
そんな伊織が持ってねえわけねぇだろ。」
…確かに、それもそうだ
場地くんがそう強く言い切る
そのままの流れで俺も伊織さんの方を見上げると、伊織さんは驚くほど冷めた目で稀咲の方を見下ろしていた