第15章 Merry X'mas
「これより!新年一発目!!
東京卍會の全体集会を始める!!!」
街の正月ムードも少し落ち着いたあたりの日、数日前の騒ぎが嘘のように静かになった武蔵神社で集会は行われた
…あれから伊織さんとは会っていない
いつもの集会前の幹部会も今回はなくて、クリスマスのことについて何かしら触れられるんだろうなってこと以外は何もわからない
少しだけメールでやり取りはしたけれど、もう怒っている様子もなかったし…何か考えあってのことなんだろうか…?
「東卍と黒龍は長く対立してきた。
一度は和平協定が結ばれたが破綻。
それは兄弟である柴八戒と柴大寿の確執が原因だった。
そして東卍はクリスマスに黒龍とぶつかり激戦の末勝利した!」
ドラケンくんのよく響く声が鼓膜を震わせる
マイキーくんはただ真っ直ぐと前を見据え、伊織さんは少し俯いて静かに佇んでいた
「この件についてみんなの前で話したい奴が3人いる!
1人目!!柴八戒前へ!!」
八戒…
紛うことなきこの件の当事者だ
全員の視線が八戒に集まる
八戒は一度小さく息を吐き拳を握り直すと、ゆっくりと口を開いた
「始まりは俺のくだらねぇちっちぇ嘘だった。」
『…』
「そのちっちぇ嘘を守るために俺は家族を…東卍を巻き込んだ。
そして事はデカくなり、東卍対黒龍の抗争にまで発展した。
全て俺の責任だ。みんな…すまなかった。」
「八戒…」
偽りのない言葉を並べて深く頭を下げる八戒
…この場のほとんどの人間がクリスマスの詳細を知らないのもあり、その場は騒めきが起こる
「気にすんな!八戒!!」
「!」
あれは確か…伍番隊の…
「抗争の火種なんてよぉ、そもそもいつでもちっちぇもんだ!」
「それに黒龍には勝ったんだ。
結果オーライっしょ。なぁ!みんな!!」
4番隊隊長もそれに応えるようにそう声を上げる
「そうだぞ!」
「誰も責めねぇよ!!」
「元々黒龍とは仲悪かったんだ!
いつかはぶつかってたさ!」
みんながそう言って八戒を励ます
「八戒!!」
「三ツ谷くん!」
「お前はこれからも!弍番隊副隊長だ!
それでいいよな!みんな!」
「「「おお!!」」」
神社中の空気が震えたのを肌で感じた
これが東卍だ…!