第15章 Merry X'mas
でも…だとしてもヤベェ
止められなかった
「チッ…クソッ!」
無謀備なところを刺された大寿の傷は、致命傷だ…
「…フッ…しくじったなぁ、柚葉…」
「…」
「え、」
「コイツがオマエに気づいて叫んでくれたお陰で、一瞬早く動けた。
…花垣を憎め…!!」
「っ!」
傷が浅い…!
ってことは…俺が助けたってことか…?
ミッション、成功…?
「悲しいな、八戒…柚葉…」
「!」
「オマエらは血の繋がった兄を殺そうとした。
オマエらの為に骨身を削るファミリーを!!」
大寿は怒りを露わにしてそう言う
2人を睨む目の瞳孔は開き切り、顔に青筋を浮かべている
…八戒の荒い呼吸音が静かな教会内に響くなか、凛とした声が空気を裂いた
「…アタシたちのため…?
違うね…!」
「ア?」
「兄貴はいつも自分だけだ!
アタシたちの事なんてどうでもいい。
家族という言葉でアタシたち姉弟をずっと利用してきた。
…アンタは、悪魔だ。」
パンッ!!!
「柚葉!!!」
「ひでぇ!!妹相手に…」
本気で打ち抜きやがった…!!
教会の壁に叩きつけられた柚葉はゆっくりと上体だけを起こして肩で息をしている
…その瞳には透明な膜が張り、肩はしきりに震えている
「主よ…なぜ神は私にばかり試練を?」
「…は?」
「なぜ私は…愛する妹を殺めなければならないのですか?」
泣い、てる…?
なんで…?