第15章 Merry X'mas
「伊織〜!!!
着いたぞー!!!!!」
『はーい!!!』
ガチャ
『お待たせ!みんな!』
玄関先でバイクの音と万次郎の声が聞こえると、バタバタと靴を履いて手袋を着けて外に出る
冷たくて刺すような空気に思わず体を震わせると、すでに鼻を赤くした3人が出迎えてくれた
「見ろよ伊織!!雪だ!」
『ふふ、本当。
ホワイトクリスマスね。綺麗。』
「?だからホワイトクリスマスってなんだよ」
「さびぃ…
テメェらんなクソさみぃ日に走るとか馬鹿だろ…
本気で行くのかよ…」
「行くったら行くの!!
ほら!早くいこーぜ!!!」
『うん!
はい、けんちゃんカイロあげる!」
「ありがとな…」
私が家から持ってきたカイロを受け取ると、けんちゃんは心底嫌そうにバイクに跨った
その後ろに圭くんが乗り、ソワソワと落ち着かない様子で私を見やる
「ほら伊織、乗って」
『うん!』
万次郎の手を借りながら私も彼の後ろに跨って腰に手を回すと、満足げに笑って前を向いた
「じゃ、出発だ!」
バブーーー…
ウォン…ウォンウォンウォン!!!
ふたつの排気音が夜空に昇る
万次郎の胸の内で何が渦巻いているのかはわからないけれど、彼なりにこのツーリングには意味があるのだろう
私は暖かい背中に頭を預けながら、聖夜の星空を瞼の裏に描いてゆっくり息を吐いた