第14章 Choice
ピコン
『ん…』
ピッ
深夜2時、微かな電子音で目を覚まし、枕元の音源に手を伸ばす
眠っていた目に容赦なく画面のライトが突き刺さり、シバシバと何度も瞬きをしながら指を動かす
『メール………!!圭くんだ…!!!』
明日に備えて寝る一方、今夜にしかわからない彼らの動向の情報収集
その片方を一手に担う圭くんからのメール
彼の名前を見るだけで一気に目が覚め、そのメールを開封する
「宇多川キリスト教会、深夜
説得役はタケミチ」
彼らしい無駄のない文章
やっぱり、圭くんは頼りになる
『深夜…人がいないからか…』
大寿さんの風貌はまぁ、良くも悪くも目立ちすぎる
熱心な彼にとって人の多い昼間は落ち着いて祈りなんかできないんだろう
それと同じ理由なら早朝ということも考えられなくはなかったから早めに寝たけれど…いらぬ心配だったようだ
稀咲が作戦会議を24日の夜に選択した以上可能性は低いとは思っていたが、作戦会議のまま直接…なんてケースも捨てきれなかった
今のところ黒龍側も稀咲側も、大方予想と大きな逸れはない
『たかちゃんは多分こっちが何もしなくても絡んでくるだろうし…
それについてはプラスだから問題ない。』
もしこの騒動の中で…黒龍の財力という目的の他に、稀咲が万次郎の周りの人間をまた殺そうという目的を持つなら、、、そのターゲットは消去法でたかちゃんしかいない
圭くんとけんちゃん、そして私は万次郎と当日一緒にいる
手は出せない
加えて今回は少数の中での犯行になる上に、他でもないたかちゃんだ
混乱という最大の隠れ蓑が使えないことを踏まえて、短く見積もっても1時間程度は余裕がある
『…よし、』
明日の流れは決まった
懸念点はひとつだけあるけど、それに関しては打てる手がこれしかない
私はずっと下書きのまま放置し続けてきたメールを送信すると、再び携帯を閉じた