第14章 Choice
『2人は放って置いていい。
どの道言ったって止まらないだろうし、そこにかける時間も労力も無駄よ。』
「だからって…騙されるの解っときながらほっとけってのかよ。」
『そうよ。
でも圭くんが身をもって体感したように、稀咲は手段を選ばない。』
「ああ。
だからこそアイツら放置する訳にいかねぇだろーが。」
『もちろん、本当に放置するつもりは無い。ちゃんと2人のことは守るつもりよ。
だからこそ、さっき言ったように圭くんには2人を張ってほしい。
2人の身に危険が及ぶようなら無理矢理にでも止めるために。』
「張るつったって…それだけで間に合うのかよ」
『大丈夫。
少なくとも…2人が稀咲にとって使えるコマであるうちは手は出されない。』
稀咲の狙いはきっと黒龍の財力
その為には大寿をどうやったって潰さなきゃならない
そして今、都合よく八戒くんを中心に彼の周りは泥沼化してる
…自分の手を汚さないアイツなら、それを利用しない訳がない
ただひとつ、稀咲にとって障害だったのは、柴家の誰とも強固なパイプが繋がってなかったこと
そこでアイツが目を付けたのがタケミっちと千冬くんだった訳だ
核心と繋がりを持ち、尚且つ操りやすい最高のコマだ
私でもきっとそうする
『約束する。
私はこの件で必ず、稀咲と片をつける。
…圭くんの言う通り稀咲は敵。もう2度と私たちの東卍を穢したりなんかさせないわ。』
「伊織…」
『お願い、力を貸して。
今は知っての通り私だけの単独行動はできない。
だからこそ稀咲は油断してるはず。この機会は絶対に逃せない。
…どうしても圭くんの力が必要なの。』
「…」
『…』
長く、受話器越しに沈黙が流れる
圭くんが懸念することも分かる
千冬くんとタケミっちに危険な橋を渡らせることに変わりはないから
そうして暫くしたのち、聞こえてきたのは圭くんの盛大なため息だった
「まぁ…お前がそう言うんならそうするけどよ…」
『ありがとう、圭くん。』
「本当、お前は昔っからこんな時だけ頑固だからなぁ…」
『そう?
まぁでも張るって言ったってクリスマスまでは大して動きはないはずだから、、
そうね…1番探って欲しいのはクリスマス当日の彼らの動き。
それだけどうにか探りを入れて。』
「わかった。」
『お願いね』