第14章 Choice
─ヒナはあの日、タケミチくんに恋をしました
─君は不良だ
娘を巻き込まないと本当に約束できるかい?
「…」
たった1人で座るテーブル席はこんなにも虚しいものだっただろうか
…冷え切ったコーヒーを目の前に、俺は呆然とする他なかった
ヒナと別れた直後、ヒナのお父さんと話した
…ナオトそっくりで、真面目そうで、、、俺とはまるで正反対な人
言うこともやはり正論で、この先の未来で実際俺はヒナを巻き込み、彼女を死なせている
…目の前の空席をただ見つめ続けることしかできない
マイキーくんと伊織さん
ドラケンくんとエマちゃん
付き合っているわけではないけれど、互いに好き合っている彼ら
どうしたらあの人たちのようになれるだろう
どうしたら、周りのみんなから余計な心配をされず、心から安心してもらえるのだろう
「…俺が、もっと強ければなぁ…」
マイキーくんのように、絶対に守ると自信を持って誓えるほど俺が強ければ…
ドラケンくんのように、何を言われても真っ直ぐに相手の目を見て話せる心意気があれば…
伊織さんのように、将来必ずヒナを幸せにさせられるだけの力があれば…
「情けねぇ…情けねぇよ、俺……
なんもねえじゃん…」
そんな言葉と、呆れたような乾いた笑いしか、俺の口からは出てこなかった