第14章 Choice
「でも、もう覚悟を決めたよ。
色々ぐちゃぐちゃになっちまったけど、それは俺たち家族がタカちゃんや伊織さんを、、、東卍を巻き込んじまったことが1番の原因だった。」
「八戒…?」
「もうタカちゃん達に甘えっぱなしじゃダメなんだ。
元を叩かないと。」
八戒はひとつ息を吐いて立ち上がる
「俺が東卍を辞めたのは、恩人である2人の大切な東卍の看板に泥を塗りたくなかったからだ。
俺はこれから、守るために暴力を使う。」
八戒はゆっくりと、優しい表情で瞳を閉じた
その顔つきとは裏腹に、自分の心臓が嫌な音を立てているのがわかる
その次の言葉を簡単に予想できてしまう自分が嫌になる
閉じた瞳をゆっくりと開き、八戒は口を開いた
そこにはもう、あの穏やかな表情はカケラも残っていなかった
「オレは、大寿を殺す」
嗚呼、やっぱり…
「だからもう、俺に関わるな
捕まる覚悟もしてる」
「でも…なんでそんな話を俺らに…?」
「……」
八戒の背中にそう問いかけて引き留める
…そうでもしないと、本当に遠い遠い何処かへ行ってしまいそうな気がしたから
「…決意表明、かな?
こうでもしねぇと俺、ビビっちまいそうで、、、
俺、弱いから。」
「…」
「短い間だったけど、楽しかったぜ、タケミっち」
そういうと、八戒は寂しげな影を従えながら歩き去った
夜の闇に金の刺繍の背中が溶けていくと、胸の中からフツフツと感情が溢れてくる
「千冬、俺なんか…すげぇムカつく」
「え?」
「兄弟をさ、"殺す"って言うまで追い詰めてんだぜ?」
「!」
「大寿を許せねえ…!!」
「タケミっち…」
「決めたぜ、千冬…
黒龍をぶっ潰す!!!」
俺はそう言って千冬の目を見つめる
…千冬は呆れたように俺を宥めるが、そんな言葉は耳に入らなかった
「ああもう!そんな顔すんなよ!!わかったよ!
確かに、黒龍潰せば確実に未来は変わる!」
「うん!」
「俺も乗った!!」
「うっしっ!」