第14章 Choice

『…大丈夫。何もされてないわ。』

「っ！なら！！柴家へ出入りしてたっての…本当なんだな…！」

『ええ。』

「なんでだ！！なんでそんな危ねえマネしてた！
知ってたんだろう！？八戒の兄貴が黒龍のアタマだってこと！
大寿がどれほどヤバいやつかってこと！
お前が知らねえはずがねえ！！」

『…』

「辞めろ三ツ谷。
…伊織、ちゃんと説明しろ。」




声を荒げるたかちゃんをそう言って宥めると、万次郎は静かな声色で私にそう問う
…声は静かだけど…怒ってるな、、、
大寿と直接話したのなら、もう隠せないし誤魔化しなんか効かないだろう






『…取り引きしてたの。』

「取り引き…？」

『東卍とか黒龍とか関係なしに、私個人と大寿個人での対等な取り引き。
…今年の夏くらいから。』

「っ、そんな前から…」

『…もちろん、それよりも前から八戒くんと大寿の関係は知ってた。
でも…面識を持ったのは夏が初めてよ。』

「…取り引きの内容は？」

『それは…言えない。』

「っ！伊織！！」

『…』





たかちゃんは私にそう言うけれど、流石に内容は言えない

【聖本の訳をする対価に医療器具を受け取ってました】なんて、、、
この2人はただの興味本位って理由では誤魔化されてくれないだろうから…

キュッと口を結んだまま、2人の目を見る






『でも、東卍に不利なことはしてない。
みんなにとって悪くなるようなことは絶対しない。
本当に私と大寿さん個人での対等な取り引きよ。』

「…東卍とかはどうだっていいんだよ…
お前が俺らにとって悪いことをしねえのもわかってる。
だが…お前はどうだ？
お前は本当に危ねえマネしてねえのか？脅されたりしてんじゃねえのか？」

「もしそうならどんなことでもいい。
ほんの些細なことでも強要されたりしてたなら…言ってくれ。」

『大丈夫。
脅されてなんかない。なんなら…私の方が少し優位に立ってた。
東卍と私の関係を大寿が知らなかったって言うのが何よりの証拠よ。』

「伊織…」





そこまで言っても2人は…特にたかちゃんは不満そうな顔を崩さない

そして万次郎は声を荒げることはないけれど、静かに怒っているのがわかる

…少しずるいけど…最終手段だな…