第13章 Result
声が、聞こえた気がした
聞こえるはずなんかない声が、画面の向こうから聞こえた気がしたんだ
稀咲が笑いながら向けてくるスマートフォンの液晶画面
そこに横たわる尊敬する人の無残な姿
でも…確かに聞こえた気がしたんだ
画面の中の場地さんは、笑っていたから
…知ってましたよ。場地さん。
貴方がこうすること、きっといざという時、貴方は2人を庇ってしまうこと。
…わかっていた。伊織さんとの約束を守る気がないことも、全部全部、わかっていた。
でも…わかっていても、いつも止められなかった。
貴方が伊織さんを見つめる目はあの頃のままだったから。
…伊織さんを通して、あの頃の東卍を見ていることに気づいてしまったから。
…伊織さん、貴方が現代に帰ってきた時、俺は情けなくトイレで号泣しましたよ。
場地さんを助けてくれたから。
どんな形であれ、生きていてくれたから。
でも…ごめんなさい
俺たちは腐ってしまった
貴方がいない間、俺は東卍を守れなかった。
…貴方がいなくなってから、俺たちは堕ちた
結局そうなんだ、全部全部、頼りすぎていたんだ
ーカチャ
頭に銃口が当たる
…最期だな
「聞け、タケミっち、最期の言葉だ。」
…死ぬって、こんな感じなのか、
場地さんもこんな風に思ったのかな…
せめて…せめてコイツになるべく多くの情報を
まだこの先も戦う相棒へ餞別を
きっと、俺が最後にお前にしてやれるのはこれくらいだから…
「…場地さんの想いを、東卍を頼むぞ、相棒」
パァン!!!
「千冬、助けられなくて、ごめんな、」
「そんなことないですよ」
俺はさっき聞こえた声にそう返事をした
不思議と怖くはなかった
だってきっと、また2人は俺たちを助けてくれるから、
俺は涙に顔を濡らすタケミチを最後に視界に捉えると、その姿に背中を向けた
そして場地さんと一緒にあの頃の姿で無意味に走った
場地さんはあの頃のように軽やかに跳び、俺はただその背を追い続けた
「千冬!行くぞ!!」
「はい!場地さん!!」
俺は貴方に何処までも着いていきますよ