第12章 Hospitalization
「ほれ」
『あ、私もこれ』
「ん?」
『「誕生日おめでとう」』
「あ、そのクマ!
伊織とゲーセン行って取れなかったって言ってたやつじゃね?」
「伊織のは…香水?」
『うん!エマにぴったりだと思って買ったの!
ちょっと耳貸して?』
「え?」
エマの近くに寄って、けんちゃんや万次郎に聞こえないように声を顰める
『香りはローズマリーっていうお花の香り。
花言葉は【変わらぬ愛】と【私を思って】
けんちゃんも嫌な匂いじゃないって言ってたし、よかったらけんちゃんと会う時これ付けてみて?』
「伊織…///」
『私の香水と同じお店のやつ。
前に私の香水の香り好きって言ってたからどうかなって。
けんちゃんとうまくいきますように!』
「うん…ドラケンも伊織も…ありがとう//」
「おう!」
エマは頭に乗せられたクマを胸に抱きながらそう言う
喜んでもらえたみたいでよかった
「エマ顔真っ赤!!
伊織何言ったの?」
『秘密♡』
「えー!!気になる!!!」
『だーめ!』
駄々をこねる万次郎に人差し指を口に当てて内緒だと言うと、ほっぺを膨らませて少し拗ねてしまった
でもまぁ、女の子同士の秘密だもん
こればっかりは万次郎にだって言えないな
「用済んだし帰るわ」
『私も!
あ、そうだ。
タケミっち、明日の集会は絶対来るんだよ〜
それじゃあまたね!』
私とけんちゃんはそれだけ言うとその場を後にした
今日はエマが万次郎と居ると決めたんだ
偶には兄妹水入らずの時間も必要だろう
エマが嬉しそうにしていた顔が忘れられない
私のはラベンダー、エマのはローズマリー
今度は一緒にお店に行って選んでもいいかもな
横にいるけんちゃんの顔を見ると、幸せそうな表情
エマの嬉しそうな顔
こんな笑顔がいつまでも続いたら…
私は一度目を瞑り、改めて胸に誓った
私が必ず、守るから
みんなの幸せを邪魔なんかさせない…!