第12章 Hospitalization
「エマってなんか欲しいとか言ってたか?」
『いや…特には』
「何にしよっかな〜」
けんちゃんと渋谷のショッピングセンターをぶらぶら回りながらいろんなお店を物色する
そういえば私、けんちゃんをときめかせるの協力してあげるって言ってからまだ何もしてあげられてない
丁度けんちゃんもいることだし…今回の誕生日プレゼントで何かあげられたら良いな…
プレゼント候補がピンとこないまま、当てもなく歩き続けていた私たちはゲームセンターに辿り着いた
私クレーンゲーム苦手だからなぁ…
いつかエマと遊びに来て全然取れなかったのを思い出す
『あ、』
「ん?」
『そういえば随分前にここに来た時、エマぬいぐるみ欲しがってた』
「どれだ?」
『ピンクのクマのやつ…あ!あれあれ!!』
奥の方にある一台のクレーンゲーム
そこには30センチ弱のクマのぬいぐるみ
「これ結構簡単そうじゃね?」
『そう?
私全然取れなかったよ?』
「あー…お前クレーンゲーム下手だもんなぁ」
『取れた試しがない…』
だからゲームセンターなんてほとんど来ないし、逆になんで取れるのか不思議でたまらない
「じゃあ俺これ取るわ」
『頑張れ!』
けんちゃんは財布からお金を取り出してクレーンを動かす
まぁそれなりに大きいし、何回かやらないとこれ無理だな…
私そういうのは途中で諦めちゃうから全然向かない
「あ、取れた」
『早!』
ガコンと商品ゲートのアクリル板を押すと、けんちゃんの手の中にはピンクのクマ
そんなすぐ取れるなんて…
『けんちゃん才能あるんじゃない?』
「何のだよ笑笑」
『クレーンゲーム?』
「あんま嬉しくねーなそれ」
そう言って笑いながら手の中のクマをクルクルと回す
エマ愛されてんなぁ
『私もプレゼント探して早くエマのとこ行こうか』
「おう!」
そうしてゲームセンターを後にすると、私たちは再びショッピングセンターの中を散策して私も無事エマのプレゼントを買うことができた
エマ、喜んでくれると良いなぁ