第12章 Hospitalization
パタン
「ねぇ、流石にあれはないんじゃない?」
「…」
「マイキーもドラケンも場地も!あんなに急に怒って伊織が可哀想!!
何考えてんのよ本当に!」
「ちょ、エマちゃん…」
病室に帰るとエマちゃんが3人に詰め寄る
この3人にこんなこと普通は言えない
エマちゃんだからだとは思うけど…咄嗟に止めてしまう
でも確かにエマちゃんの言う通りなわけで…3人の行動の意味がわからないのは本当だ
…あのほんの数分の間に何があったっていうんだ
「…わかってる。あれは俺たちが悪かった。」
「ドラケン…」
「わかってんだよ…」
「…」
ドラケンくんが酷く弱々しくそう言う
…でも、わかっているなら尚更だ
尚更意味がわからない
「じゃあなんであんなに言ったのよ。
みんなして責めて…伊織悪くないのに…」
「それは…」
「…」
伊織さんのことも大好きなエマちゃん
彼女も大切な人を責められて黙ってはいられないのだろう
先程のような尖った言葉は無くとも、3人をじっと見つめる
「…」
「…」
「…」
「…黙ってちゃ…わかんないよ…」
場地くんとドラケンくんはマイキーくんに視線を注ぎ、マイキーくんは地面を見つめたまま
エマちゃんが小さく消えそうな声でそういうと、マイキーくんは苦しそうな顔を上げた
「…フルートは…俺たちの中で絶対に伊織に触れさせちゃならないものだった…」
「は?」
「エマは知ってると思うけど…伊織は元吹奏楽部だ。
半年くらいで辞めてはいるが…そこでフルート奏者だった。」
「それは知ってるよ…でも、それとなんの関係が…」
「…伊織が部活を辞めた理由は、、いや、辞めなければならなかった原因は俺たちにある。
…それを思い出させたくなかった。
アイツが傷つくのはわかってるから…
…ごめん。これ以上は言えない。」
「…」
「…」
マイキーくんはそこまで言うと視線を逸らした
他の2人も目を背けて唇を噛み締める