第12章 Hospitalization
「なんでこんなものお前が…!」
私の両肩を掴んだまま、そう言って酷く苦しそうな、泣きそうな顔をする万次郎
…どうしてそんな顔をするの…?
『なんでって…借りただけよ
万次郎達こそ!なんでそんなにムキになってるのよ!!』
「それはお前がっ!」
『何よ!私が何したっていうの!?』
「っ!」
『みんなして色々言って!意味わかんない!!』
訳がわからないまま大きな声出されて責められて、理由を聞いたら黙って…
私も止まらない
『なんで何も言わないのよ!
フルート吹くのがそんなにダメなこと?
何がダメだったのかも言えないのに!?』
「っ!そうじゃねぇ!
俺たちはお前を…ああクソッ!!」
「オイオイ、お前ら何騒いでんだ?
ここ病院だぞ?」
『たかちゃん!』
「三ツ谷…」
私の肩を以前掴んだままの万次郎にそう言うと、その横から圭くんが口を出し、イラつきを体現するように長い髪を掻きむしる
と、たかちゃんが呆れたようにみんなの後ろからふらりと現れた
よかった…たかちゃんならきっと話を聞いてくれる…!
『たかちゃん!みんながなんか変なの…!』
「は?変って……お前ソレ…!!」
『え?』
「フルート…」
『もう、フルートが何なわけ?みんな一体…っ!ゴホッゴホッゴホッ!!』
「伊織?」
『ゴホッ!ゲホッゲホッ!!っ!』
ズル…
息が苦しい
肺が痛い
ズキズキと痛む胸を押さえ身体を丸める
あまりの苦悶に目の前の万次郎の服を掴みながら地面に座り込んでしまう
と、私の様子にを見て、万次郎はすぐに私の身体を支えるように膝をつく
「オイ!伊織!!伊織!!
大丈夫か!?」
『ゲホッゴホッ!!痛っ!…だい、じょ…ゴホッ!』
「ごめん伊織…俺…!」
「エマ、場地、お前らはマイキーと伊織見てろ!
俺と三ツ谷で誰か…伊織?」
隣でそんな会話が聞こえ、私は咄嗟に視界の端に捉えたけんちゃんの柄のパーカーを掴んだ