第2章 Chance
『…あ、』
忘れていた。
完全に。
『…花垣くんと私、面識ないんだった、、、』
今の私と現代の私の格好が違う様に、彼もきっと違うはずだ。
歳も学校も連絡先も知らない。
彼の恋人だと言う橘日向という子も聞いたことがない。
手がかりは名前だけ。
『…無理じゃん、』
タイムリープ初日から詰んだんじゃないか?
…いや、待て待て。
そもそも、今回のミッションは内輪揉めを解決してけんちゃんを助けること。
これは私も花垣くんも理解してる。
私はこのままけんちゃんと離れなければ大丈夫だから問題ない。
…最悪、花垣くんいなくてもどうにかならないこともない。
でも、彼の場合は違う。
恋人の命が掛かってるなら、会ってすぐの私に丸投げして任せるなんてことはしないだろう。
でも、東卍のメンバーですらない彼が東卍No.2のけんちゃんに会うなんて土台無理な話だ。
きっと彼は何かアクションを起こして接触を図るに違いない。
中身は20歳超えた大人なんだ。
頭使ってどうにかするはず。
そしたら、、、私や万次郎、けんちゃんの前に彼自身の力で現れたら、私も彼を認識できる。
『…とにかく今は、けんちゃん達からなるべく離れないこと。
それと花垣くんがここまで来るのを待つこと、か。』
私はそこまで考えが纏まると、お風呂に入ってさっさと布団に入った。