第11章 Bloody Halloween
ドゴッ!ガッ!!ゴッ…ドッ!!
マイキーくんが一虎くんの上に乗り、ひたすら拳を振り上げる
「マイキー…」
バキッ!ゴキッ!ゴッゴッ、ドガッ!
「殺しちまうぞ…」
ゴチャ!ドゴッ!ガッ!!!ゴッ!ゴキッ!
「…もう誰も、マイキーを止められねぇ」
ドッドッ!!!ゴチャ!!ゴッ!
殴打音と幹部たちのそんな声だけが廃車場に響く
…マイキーくんの振り上がる腕は止まる気配すらない
そして、誰も動かない
マイキーくんが一虎くんを殺してしまう…!
そしたら…そしたらもう取り返しがつかないのに…!!!
それなのに!俺の足は動かない…
俺にはマイキーくんを止められない
クソッ、、、俺には…俺には何の力もねぇのかよ…!!!
…この状況下
呼吸をするのにも、肩ひとつ動かすのにも空気が張り詰めて容易には動けない中
ひとつ影が動き、その周りの空気がふわりと舞った
『万次郎!!!』
ガシッ!
「…え………」
その場には似つかわしくない
高くて細い声が響いた
『お願い、もうやめて…お願い、、、』
「…は、、、伊織…?」
『お願い…』
伊織、さん…!!!
マイキーくんの振り上げられた腕にしがみつく伊織さんのフードが、風に吹かれてパサリと脱げた