第11章 Bloody Halloween
たかちゃんに見つかって、彼は私の前に立って敵を地に沈めていく
その背中に大きく刺繍された【初代東京卍會】の文字
私はそれを見ながら、同じ刺繍のあるけんちゃんと万次郎の背中を見送った今朝のことを思い出していた
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ーー
ーーー
ブロロロロロ
バブー…
『…』
万次郎とけんちゃんのバイクの音が遠ざかって彼らの影が見えなくなると、私は急いで部屋に戻った
そして持ってきておいたバッグの中身を取り出す
マスクに黒いパーカー、医療器具達にウエストポーチ、、、
色々あるが、まずは着替えだな
万次郎のサラシの替えを借りて胸を潰す
この作戦は如何にみんなに紛れて大切な時に出て行けるかが勝負
…絶対にバレる訳にはいかない
体格は多少仕方ないとして、男の人の中に紛れるんだ
みんなに比べて背の低い私なら埋もれてあんまり見えないだろう
サラシを巻きおわると、パーカーの上に前々からちょこちょこ作って準備していた特攻服を着る
…特攻服なんて作ったの、初期メンバーのやつ以来だ
腕の所属を示す刺繍は壱番隊にしておいた
隊長不在で副隊長である千冬くんは今、圭くんのことで頭がいっぱいのはず
壱番隊が最も隠れやすそうだった
髪をいつものように纏めてフードを被る
…これで髪は見えない
顔はマスクで隠すとして、忘れてはいけないのは手
手は骨格からすぐに性別がわかる
手袋も嵌めて準備は万端
『怒るだろうな…万次郎、』
…でも、構わない
誰になんと言われようと
圭くんとカズくんは死なせない
私は医療器具の詰まったウエストポーチを腰に着けると、決戦の廃車場へと向かった