第10章 Betrayal

「千冬…場地くんと2人で話してもいいか？」

「は？」

「あ？」

「…頼む。」

「…」












千冬にそう声を掛けると、千冬は遠くで俺たちを見守る

…と、場地くんが口を開いた















「オイ…テメェと2人で話すことなんかねーぞ？」

「俺は場地くんが、、、いや、場地くんと伊織さんが一体何がしたいのかわかんないっス」

「…」













本当にわからない

稀咲を追うためじゃないなら何がしたいのか



それ以外の目的ってなんなんだ






…でも、そうじゃない

俺はそんなことをするためにここに来たわけじゃない














「…もう、そんなことはどうでもいいです。」














…ん？

どうでもいい…




























ー稀咲なんて今はどうだっていいのよ



っ！そうだ…！

あの時の伊織さんの言葉…そういうことだったんだ…！！









確かに俺はわかってなかった

稀咲だけに縛られて、本来の目的を忘れてしまっていた





だから伊織さんはあんなこと言ったんだ…、





今優先すべきなのはそこじゃないから…！！








俺はスッキリしたような心持ちで、真っ直ぐ場地くんの目を見た
























「…ただ、どうか明日を乗り切ってください。」

「は？」

「どうか、死なないで…」














それだけでいい


それだけでいいんだ














「マイキーくんが、伊織さんが、、、みんなが悲しむから…」














それ以外はもうどうだっていい

何度でもタイムリープしてやり直せる


…でも、死んでしまったらもう、助けられないんだ

生きてさえいてくれれば、機会は必ず巡ってくる…！！
















「アイツは敵だ。明日俺が殺す。
…アイツにそう伝えろ。」











獣のような目をしてそう言い切ると、場地くんは俺に背を向けて歩いて行った



俺はその背中にもう一度願った











…どうか、死なないで