第10章 Betrayal
「伊織さん!!」
『…わからないわね。』
「なんで…!」
『…カズくんが万次郎のお兄さんを殺したのは事実。
圭くんがカズくんと仲が良くて、手紙のやりとりをしていたのも事実。
圭くんが東卍を抜けてカズくんに着く理由は十分よ。』
「でも!伊織さんのことは!!」
『…私のことは別にどうでも良かったんだと思うわ。
私が実際東卍の脳であれ、万次郎の女だと言われていたとしても関係ない。
利用価値がないもの。』
確かに私を拉致ることはできる
だけど一週間後に決戦だと明言したのならその必要はない
今、私の情報になんの価値もない
…だからこそ疑問だ
何故半間は私の情報を引き出そうとした?
ただの興味か?
『…とにかく、圭くんの奪取は無理ね。
後の判断は私たち上がやるわ。』
「っ、」
『怪我、お大事に』
圭くんが前の世界で身を挺して守った千冬くん
今回だってそうだ
圭くんはこれ以上踏み込まないように守ろうとしてる
きっと拳が痛かっただろう
あんな風になるまで殴り続けるなんて、普通できない
…圭くん……
それに、千冬くん、ごめん
嘘ばっかでごめん
現代ではいつも貴方は私の前に立って守ってくれた
だから今は…今この世界では私と圭くんが必ず貴方を守る…!
そしてもうひとつ
…表向きの圭くん離脱の理由はカズくんの仲間になるため
それを知った万次郎はどう思うだろう
あとは万次郎の判断ね…
それによってこちらも動きが変わる
『…圭くんはカズくんのために止められない
それを万次郎は知らない
タケミっちと千冬くんは半分だけ知ってるけど、確証を持ててないハズ
………さぁ、どうするか、、、』
私はカバン片手に家に帰った
…これはもう、当日勝負になるかもなぁ