第9章 Check
「…伊織さんどうぞ」
『…はい』
2人にそう言われて真ん中の椅子に座る
…本当にこんなところにけんちゃんが、、、
「248番入ります!!」
『!』
ガチャ
『っぁ!!』
「っ!」
「!?伊織…か…?」
『けん、ちゃ……』
「おま、なんで…!」
12年
12年会ってなかったけんちゃん
トレードマークの辮髪は無くなって、私たちを守っていた腕には彼の自由を奪う手錠
彼は信じられないものを見るような目で私を見つめ顔を歪めた
「…伊織、どうしてここに…」
『…けんちゃんが死刑囚だって聞いて…
彼が…ヒナちゃんの弟さんのナオトさんが会わせてくれた』
「…はじめまして。橘ナオトです。」
「ヒナちゃんの…そうか、」
『ねぇけんちゃん、嘘だよね…?
けんちゃんは死なないよね…!?』
「伊織…」
けんちゃんを目にした瞬間から目からは涙が溢れて止まらない
…けんちゃんはそんな私に手を伸ばしかけて、途中でその手を下ろした
「…後悔はしてねぇ。
俺がここにいるのも当然の報いだ」
『けんちゃん!!』
「伊織、お前は何をしてる?
今更何故俺に関わる?俺とお前はもう何も関係ない。」
『けんちゃん分かってるよ。
私だってあの頃みたいに子供じゃない…!
たかちゃんとけんちゃんが私をわざと逃したんでしょう?』
私がそう言うと、彼は驚いた顔を一度下を向いて隠した
そして次に顔を上げると、怒ったような苦しそうな、そんな顔をしてけんちゃんは声を荒げた
「…それが分かってるなら何故帰ってきた!
日本から、いや、、、せめて東京から離れろ!!
もうガキの喧嘩のレベルじゃねぇ!命を落とすぞ!!」
『嫌よ!もう逃げない!
…ねぇ、どうして?どうしてあの時私だけを遠ざけたの?
私はそんなこと望んでないってたかちゃんは言ってなかった!?』
「…」
『…っ、、嫌だよぉ…けんちゃんが死ぬなんて、、、本当に、もう耐えられない…嫌だ…っ!』
「伊織…」