第8章 Surprise
『はぁ…』
家のベッドにダイブする
…怖い、な
未来は確実に変わってる
ただ、完全に良い方向に行っているはずはない
…今回のタイムリープでわかった
東卍の諸悪の根源はけんちゃんの死じゃない
稀咲だ
タイムリープ前の私たちは、けんちゃんの死の裏に稀咲がいることすら知らなかった
だから、、、けんちゃんさえ救えば未来は変わる
けんちゃんさえ救えば稀咲が東卍に入ることもない
けんちゃんさえ救えば万次郎も変わらなくて、東卍があんな組織になることはない
…そう、思ってた
でも、違った
けんちゃんの死は全部稀咲の敷いたレールの上にあった
…偶々けんちゃんが死んで稀咲が東卍に入ったわけじゃなかった
…稀咲を排除できていない以上、東卍の変貌はきっと止まっていない
…だから、きっと万次郎は私の近くには、いない
『…稀咲、』
…本当は、まだ帰りたくない
不安の種を残したまま、去りたくはない
もう誰も死なせたくない
誰も苦しんで欲しくない
それでも、確かめなくちゃいけない
私たちの今回の行動で、未来がどう変わったのか
あまり元の歴史を変えすぎるのは良くない
何が原因で何が変わったのかわからなくなる
だから、帰らないと
帰って確かめないと
ピリピリ…
嗚呼、手先が痺れる
…タケミっちが直人さんと会ったんだ
身体が宙に浮き、背中から引っ張られるように意識が降下していくような感覚
…帰るんだ
またね、万次郎
またね、みんな
またきっと帰ってくるから
少しだけサヨナラ
私は抗うことなくそのまま目を閉じた