第8章 Surprise
ピンポーン
「伊織〜俺〜!!」
『はーい!ちょっと待って!!!』
ガチャ
『おはよう、万次郎』
「ん、はよ〜」
私が退院してからの新たな日課
万次郎は毎朝私の家まで迎えに来て、一緒にけんちゃんの病院に行く
学校の時はいつも私とけんちゃんが迎えに行ってたから変な感じ
『ん?万次郎何?その紙袋』
「んー、行ってからのオタノシミ」
『へぇ』
いつもは手ぶらの万次郎が…お土産?
珍しい
ガラガラ
「ケンチーン来たよ〜」
『けんちゃん、傷の調子はどう?』
「お、今日も来てくれたんか。
悪いな、毎日毎日。」
「別に良いって」
『そうよ
嫌だと思ってるなら来ないわ』
そう言いながらベッドの横の椅子に腰掛ける
絶対安静の期間は終わり、少しずつなら体も動かせるようになったけんちゃん
顔色も良いし、退院も近いだろう
「あ?なんだその袋」
『さあ?お楽しみだって』
「ふっふっふ、じゃあケンチンのとこにも着いたし、お披露目といきますか
……ジャーン!」
バサッ
「っ!それ!」
『!どうして急にそんなもの…』
万次郎が満面の笑みを浮かべながら取り出したのは、私たちにとってはひどく懐かしい、東卍立ち上げの時の万次郎の特攻服
私とたかちゃんが作った最初の特攻服だ
「へへ、これタケミっちにやろうと思ってさ」
「タケミっちに?」
「ああ。アイツは東卍の恩人だからな!」
『…でも、いいの?』
「いい!
…着るか着ないかは任せるけど、俺はコレ、タケミっちに持ってて欲しい!!」
万次郎はそう言ってキラキラした笑みを浮かべる
彼が決めたのなら何も言わない
「へぇ、良いんじゃねぇか?
俺の恩人でもあるしな!」
「だろ?だからこれケンチンから渡しといて」
「いいぜ」
『なんかこうやってみると、万次郎も東卍も大きくなったね』
「まぁね」
私は万次郎からその特攻服を受け取ると、綺麗に畳み直した