第7章 Incident
「タケミっち!!!
ケンチンを頼む!!!」
『っ!』
その声に反応して、タケミっちはけんちゃんの身体を背負って歩き始める
馬鹿、最初はまず救急車でしょう!
『もしもし!』
「消防ですか?救急ですか?」
『救急です!
場所は東京都武蔵神社裏の駐車場
患者は10代少年、身長180センチ越えの体重およそ75キロ、血液型はO型
腹部を刺され、出血多量
右側頭部にも損傷があり脳へのダメージもいくらか考えられます
至急手配を!』
「は、はい!!
……っ、武蔵神社近くは交通が混雑しており、さらに雨で到着が遅くなる可能性があります」
『馬鹿か!そんなことは聞いてない!!
早く!じゃないと患者が死ぬ!!!』
一言で情報を言い切り、問答無用で電話を切った
言い訳なんかどうでもいい
救命ってのは怪我人のところへいち早く到着するのが仕事だろう!
『タケミっち!』
「伊織さん!!」
『救急車は呼んだ!それまで私が持たせる!!
けんちゃんそこに寝かせて!』
「お願いします!!」
まだ息はある
苦しそうだが、呼吸もちゃんとしてる
とにかく、まずは血を止めないと…
「タケミチくん!」
「伊織!ドラケン!!!」
『っ!エマ!?どうして!!』
「それにヒナも…!」
「ドラケンは!?
声聞こえて思わず来ちゃって、、、」
「生きてる!けど…」
『エマ大丈夫、大丈夫だから…』
エマは泣きながらけんちゃんの頭を膝に乗せる
不安で仕方がないんだろう
「あれあれぇ?死んでねーじゃんドラケンちゃん!」
「!!」
『…』
「カスが何余計なことしてくれちゃってんだ?」
アイツは…キヨマサ!
死んでねーじゃんってことは、、、
『…お前か、、、けんちゃん刺した奴は…』
自分の中で、何かがプツリと切れた音がした