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とうらぶ夢倉庫(短編館)

第4章 浦島虎徹 / 守りたかったもの ★




「喜んで貰えてよかった~」


目の前に座っている浦島くんはホッとしたような表情でこちらを見ていた。


「あ、味も美味しい…。凄いね浦島くん、こんな素敵なお店知ってるなんて」
「へへ…、さんに喜んで欲しくて…。まぁ、でも、本当は加州さんに教えて貰ったんだけどね…」


申し訳なさそうに眉を下げる浦島くん。
そうやって正直に言えるところが素敵だし、喜ばせようとしてくれた事自体が嬉しい。
そう伝えると、浦島くんはまた照れたような顔で笑ってくれた。


それからも、ゲームセンターでクレーンゲームをしたり
可愛い雑貨屋さんでお揃いのキーホルダーを買ったり
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。


「あ、あの…!!」


ふいに、声を掛けられて立ち止まると。
綺麗な女性が浦島くんに何か言いたげに見つめていた。


「あ、君…、もしかしてあの時の…」
「は、はい! あの時は助けて頂いてありがとうございました!」


深々と頭を下げる女性。
気にしないで、と浦島くんは笑いかけていた。
話を聞いてみると、どうやら浦島くんが現代遠征中に、迫りくる暴漢から彼女を助けてあげたようで。
女性は何度もお礼の言葉を残してその場を後にした。



「そっか、そんな事があったんだね」
「うん。だ、だからねさん、それだけだから!!浮気とか絶対にないからね!? 俺が好きなのはさんだけだからね!?」


必死に訴えてくる浦島くんに、クスリと笑みが零れる。


「心配しなくても、浦島くんのこと信頼してるから大丈夫だよ」
「ほんと…? よかった…。…あ!! あそこ、あの飲み物、さんがさっき飲んでみたいって言ってたやつ!!」


浦島くんが指さした先には、先程街を歩いている時に見かけた広告のお店で。
確かに飲んでみたいとは言ったけど、ちゃんと覚えててくれたんだ…。


「こんなところにあったんだね」
「俺、買って来る!! さんはここで待ってて!!」


そう言って、キラキラとした笑顔を残し、あっという間にお店まで走って行った。
優しいなぁ…なんて嬉しく思いながら待っていると。



「お嬢ちゃん、ちょっと一緒に来て貰おうか…」



気が付くと、数人の男達に囲まれていた。






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