第2章 水心子正秀 / 恋刀1年記念の決意 ★
「水心子、泣かないで。1年の記念日までまだ少し猶予があるじゃない」
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そう。清磨のこの一言で私は奮い立ち、誉を重ね、今に至るのだ。
そして、そういう書物や動画なども清磨に教えて貰って、色々研究した。
いめーじとれーにんぐ、だって何度もしたし、きっと大丈夫だ。
私は新々刀の祖。これくらい、すまーとにこなしてみせる…!!
まずは日が落ちるのを待って、夕餉、湯あみを済まし、照明を段々と薄明かりにして……
「ねぇ水くん。考え事?」
「うわぁぁぁぁ!?///」
急に彼女の顔が目の前にあって。
驚いて大声を発してしまった…。
「ご、ごめんね、考え事の邪魔しちゃったかな!?」
「あ、いや…、済まない、ちょっと驚いてしまって…。その、何か用だっただろうか」
「あ、あのね、さっき部屋の中をぐるっと見て回ったんだけど…、このお部屋、露天風呂がついてたんだ♪」
酷く楽しそうにそう言って、こっちだよ、って手を引いて露天風呂まで案内してくれる。
ベランダのようなところに木の簾が掛かっていて、外から見える心配は無く、落ち着いた雰囲気だった。
まるでボートのような、横幅はあまりないが、長さのある、ヒノキで出来た浴槽。
そして木筒で出来た蛇口からは、源泉が掛け流し出来るようになっている。
彼女が蛇口を捻ると、少し硫黄の匂いのした熱い湯が流れて来た。
「ねぇ水くん、早速入ろうよ♪」
「なっ…っ、こ、こんな日の高いうちからか…っ!??///」
「ダメ、かなぁ? 大きいバスタオルもあるし…」
「あ…。バスタオル、あるのか…」
そうか。ここならバスタオルを巻いて入っても、誰の迷惑にもならない。
ということで。彼女の願いを聞き入れる事にした。
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「…ふぅ」
先に準備の終えた私は、一人で湯につかり、彼女を待っていた。
何だか、すごくドキドキしてしまう。