第2章 水心子正秀 / 恋刀1年記念の決意 ★
「手も繋いだし…」
「うん」
「主をだ…抱き締めたりもしたし…」
「うん」
「その…、き…、きす…、もしたぞ…!!」
「ふふ、うん。それで?」
「………それで…?」
「………え」
私が首を傾げると、清磨は驚いたように目を丸くした。
「え…、っと…。水心子? キスの次は…わかる?」
「ば…っ、馬鹿にするな/// そ、それくらい…その。知識はある…///」
「うん、良かった。…で。もうすぐ1年、だよね? シないの?」
「んなっ…!!/// そ、それはまだ早過ぎるだろう!!? まだ1年なのだぞ!!?///」
そんな私に、清磨は目の前で盛大に溜息をついた。
そして端末を器用に操作しながら、あのね水心子…と話を続ける。
「僕たちには何てことない1年でも、ヒトの1年って、結構重要みたいでね…」
そう言って。先程操作していた端末を私に見せてくれた。
そこには、主の世代の雑誌、だろうか。その中の、若い男女が赤裸々に恋愛について語っているページで。
『私の事を大事にしてくれるのは嬉しいけど…。流石に1年も手を出さないっていうのは萎える。長すぎじゃない? 耐えられなくて他の男に乗り換えました』
『えっちしたい!って訳じゃないんだけど…。全然彼からえっちしてくれなくて…。付き合って1年記念日に、もしかして…と期待したけど、結局何もなくて。もう無理、ってなって別れました』
『1年も手を出されないと、私って女としての魅力無いのかな?って不安になるし普通に落ち込む。そんな時、心も体も慰めてくれた彼に乗り換えました』
目に飛び込んで来る、それらの記事。
読んでいて眩暈を起こしそうになってしまった。
「これが、主達世代の本音だよ。まぁ、主も水心子の事は高潔な刀だと思ってると思うけど…。でもね水心子。このままだと…主、他の男に取られちゃうかもよ?」
清磨の言葉が心に突き刺さり、身体は何ともないのに重症を負った心地になった。
マズい。これは非常にマズい…。
1年なんてもうすぐじゃないか。
もし、もしも主が、中々手を出さない私に失望し、他の男に乗り換えるなんて事になったら……。