第52章 ヒッポグリフ
「『占い学』で優秀だってことが、お茶の葉の塊りに死の予兆を読む振りをすることなんだったら、私、そんな学科といつまでお付き合いできるか自信がないわ!あの授業は、『数占い』の授業に比べたら、まったくのクズよ!」
そう言って、ハーマイオニーは教科書をカバンに詰めて勢いよく去って行ってしまった。ロンはハーマイオニーの後ろ姿を見ながら顰めっ面をした。
「あいつ、一体何言ってんだよ!あいつ、まだ一度も『数占い』の授業に出てないんだぜ」
「…ロン、言っていい事と悪いことがある。あんな言い方したら、ハーマイオニーが怒るのは当然さ」
「君はいつだってあいつの味方だ」
ロンは不貞腐れながら食事を再開した。
ミラはやれやれと思いながら、少し冷めた紅茶に口をつけた。
次の授業はいよいよ『魔法生物飼育学』ということで、ミラはワクワクしていた。ハグリッドの最初の授業を受けられるなんて、自分たちはラッキーだとさえ思っていた。隣を歩いているハリーも、すっかり元気を取り戻したように見えた。反対にロンとハーマイオニーはお互い目も合わせようとしない。そんな二人を埋めるかのように、ミラとハリーは二人の真ん中を並んで歩いていた。
「まるで人間の盾だ」
と、ミラはこっそりハリーに耳打ちすると、ハリーは苦笑いした。四人は『禁じられた森』の端にあるハグリッドのコヤを目指して、芝生の降って行った。その先に、見慣れたプラチナブロンドの髪を見かけた。両脇には相変わらず子分の様に引き連れたクラッブとゴイルもいた。
ドラコが上機嫌にクラッブとゴイルに話しかけ、二人はゲラゲラと大声で笑っている様子が見えた。
「ゲェ、スリザリンと一緒かよ」
ロンが靴の裏にくっついたガムを見たかのような顔で言い捨てた。
「はぁ…何事もなく、ってことはないな」
ミラもため息をついた。ドラコはハグリッドのことを馬鹿にしていることを知っていた。スリザリンとの授業は、魔法薬の授業と1年生の時の箒の授業以外は当たったことがない。なので、どこまでハグリッドに対して失礼な態度を見せるのか、ミラは少しだけ不安を感じた。何かあればその時は----ミラはスッと目を細めてドラコたちの背中を見た。