第52章 ヒッポグリフ
信じられないと言った様な顔で、ロンは持ちかけていたフォークを落とした。
「多分野良犬よ」
「ありえる。そのグリムって墓場に出るって言ってたじゃん。ハリーは墓場にいたの?」
「ううん。ただの住宅街で、公園があったくらい」
「ほら、ただの野良だ」
ミラ、ハーマイオニー、ハリーは話しは終わったと昼食のシチューを食べ始めた。
「でも、ぼくの----僕のビリウス伯父さんがあれを見たんだ。そしたら----二十四時間後に死んじゃったんだ!」
「ロン、しつこい!それはロンの伯父さんがグリムを見て『もう死んだも同然だ』って思い詰めたんじゃないか?ハリーを見ろよ、まだ生きている。死んでるならとっくにここにはいない」
「そうよ、ロン。グリムは不吉な予兆じゃなくて、死の原因だわ」
ロンは言い返そうと口を開きかけたが、言い返す言葉が出てこず、黙ってシチューを食べ始めた。やっと静かに食べれると、ミラは静かにため息を吐いた。ハーマイオニーはカバンを開け、新しい学科、『数占い学』の教科書を取り出し、ジュースの入った水差しに立て掛けた。
「占い学って、とってもいい加減だと思うわ。言わせていただくなら、当てずっぽうが多すぎるのよ」
「ハーマイオニー、まだ続けるの?」
ミラは辟易した顔をした。
「あのカップの中のグリムは、全然いい加減じゃなかった!」
「ハリーに『羊だ』なんて言った時、そんなに自信がある様には見えませんでしたけどね」
ハリーたちの隣に座っていたとはいえ、ハーマイオニーが二人の占いの結果まで聞いていたことにミラは関心しつつも、確かに二人の会話は覚えていないけれど、少しだけ聞こえていた。ヒートアップし出した二人に、ミラは黙って黙々と昼食を食べて見守った。ハリーも二人の会話には入らず、ミラと同じように見守ってた----が、ついにロンがハーマイオニーの弱みをついてしまった。
「トレローニー先生は、君にまともなオーラが無いって言った!君ったら、たった一つでも、自分が劣って見えることが気に入らないんだ」
ハーマイオニーは、カバンから出していた『数占い』の教科書でテーブルをバーンと叩いた。あまりの勢いに、肉や人参などがそこら中に飛び散った。