第51章 占い学
トレローニー先生に言われた通り、滓の入ったカップを回し、水気を切り、それから二人で交換した。教科書の『未来の霧を晴らす』五ページと六ページを開いた。
「へぇ、これはわかりやすいな」
カップを傾けながら、茶葉の形をじっと見つめる。
「本に巻物、山積みの書類…に見えるな----ふふっ、ハーマイオニーらしいじゃん」
ミラはハーマイオニーを見て、ちょっとからかうように笑う。
「えー、おほん、首席は確定。でもその分、めちゃくちゃ忙しくなるでしょう。課題に試験勉強…寝るヒマもなくなるかもしれん…えー、まぁ、貴方なら乗り越えられるでしょう。たまには休んだほうが吉----こんな感じかな?」
ミラは面白おかしくそう言ってカップを戻しながら、にやりとハーマイオニーに笑ってみせた。
「主席になれるってことは、努力が報われるってことだわ」
「今朝のおかしな予定表と関係がありそうな気がするけど----勉強も程々に」
「えぇ、気を付けるわ」
と、ハーマイオニーはミラのカップをクルクル回しながら言った。しばらくすると、ハーマイオニーが少し眉を顰めながらカップを覗き込んでいた。
「これは、橋かしら?…それからこれは鳥?」
ハーマイオニーは慎重に茶葉と教科書の絵を照らしながら、目を細め、角度を変えながら覗き込んだ。
「…で、こっちは…蛇?うん、細長くてくねってて、明らかに蛇の形だわ」
ハーマイオニーは少し黙ってから、教科書をもう一度見直した。
「橋は“繋がり”の象徴。誰かとの関係が大きく変化する時に現れる。鳥は“自由”や“旅立ち”、それに“距離”を意味するわ。……誰かが、あなたのそばから離れていく。もしくは、あなたが“離される”って感じてるのかもね」
と、ハーマイオニーは静かに続けた。