第51章 占い学
「でもそれは、悪い意味じゃないと思うわ。新しい環境、新しい絆が生まれる兆しかもしれない」
「いまいちピンと来ないけど…」
「鳥は同時に観察者でもあるの。誰かの秘密を知るとか、距離を置いて見てるとか。烏なら特に、頭が良くて、何かを見抜く存在よ」
「ハーマイオニーに頭がいいって褒められるのって、なんかいいね」
ミラはどこか誇らしげに微笑んだ。
「蛇は…」
視線をカップに戻したハーマイオニーは慎重に話し出した。
「あんまりいい暗示じゃないみたい。スリザリンを象徴する動物だし。何か…関わってるのかもね----もしかしたら、ある人との関係がこれから変わっていくのかもしれない。名前は言わないけど…心当たり、あるんじゃない?」
それから、微笑む。けれどその目はどこか探るようだった。
「----さぁ、どうかな」
ハーマイオニーの確信を得ているような言い方に、ミラはドキリとしつつも、ヘラりと笑って誤魔化した。今はまだ、まだ言えない----しかし、ドラコとの関係が変わっていくのだとしたら、それは良い方に転がるのか、それとも悪い方に転がっていくのか----。
「隼----まあ、貴方は恐ろしい敵をお持ちね」
トレローニー先生が、ハリーのカップを持ってハリーの占いの結果を告げた。
「でも、誰でもそんなこと知ってるわ。ハリーと『例のあの人』のことは、みんな知ってるわ」
「さっすがハーマイオニー」
ミラは称賛の拍手をハーマイオニーに送った。トレローニー先生はハーマイオニーを睨んだが、あえて反論せず、再び大きな目でハリーのカップに視線を戻した。カップを回しながら、棍棒、髑髏とあまりいいとは言えない結果を告げていく。みんながその場に立ちすくみ、じっとトレローニー先生を見つめる中で、先生は最後にもう一度カップを回した。そしてハッと息を呑み、悲鳴を上げた。
カチャンと、また陶磁器の割れる音がした----ネビルが二個目のカップを割った音だった。