第52章 ヒッポグリフ
四人はグリフィンドールの談話室に戻っても、話題はドラコのことで持ちきりだった。ミラは談話室のソファに座り込むと、強い睡魔に襲われた。目を閉じていても、誰かしらの声が必ず聞こえた。
(ドラコ----傷は治ると思うけど、このままで終わらないはずだ----せっかくハグリッドに自信を持ってもらいたかったのに、あいつ----やっぱり私も医務室に行くべきだったか----」
うーんと、唸ると、ハーマイオニーが心配そうに声をかけてくれた。
「にしても、なんでマルフォイのやつを助けたんだ?」
ミラは目を開けると、不満そうなロンの顔が見えた。ロンは一人掛け用の椅子に座っていた。
「でもミラがいなかったら、もっと酷い事になってたかもしれないのよ」
「そうだけど、自業自得だよ」
ミラは気怠げに二人の話を聞いていたが、答えるのも面倒だと思っていた。気が付いたら体が動いていた。助けたことにも全く後悔もない。
「ハグリッド----大丈夫かな」
ハリーは心配していた。夕飯の時間になっても、ハグリッドは大広間に現れなかった。ドラコも医務室から出てこれなかったのか、スリザリンのテーブルのどこにも姿が見えなかった。代わりに、大勢が固まって何事か盛んに話している中に、クラッブとゴイルがいたのを確認した。
どうせ都合のいいでっち上げ話しをしたり、ドラコの怪我について話しているのだろうとミラは思った。
夕食の後に、混み合ったグリフィンドールの談話室で、マクゴナガル先生の宿題をする頃には、ミラはすっかり元気になっていた。少し疲れてはいたが、力を使った後に倒れなくなったことに、体が大きな魔力に耐えられるようになってきたのだと実感した。そして鼻血の量もだいぶ少なくなっていた。夏休みの間だけは訓練ができないが、学校に帰ってきた今なら好きなだけ特訓ができることに、ミラはうずうずしていたのだった。