第51章 占い学
「じゃ、どうするんだ----」
「マーマレードとってくれない」
「だけど----」
「ねぇ、ロン。私の時間割りがちょっと詰まってるからって、あなたには関係ないでしょう」
と、ハーマイオニーは厳しく言った。ロンは引きつけを起こしたような顔でミラを見ると、ミラも肩をすくめた。これ以上ハーマイオニーに聞いても、答えてくれないとわかっているからだ。
その時、ハグリッドが大広間にやって来た。長い厚手の木綿のオーバーを羽織り、一方の大きな手にはスカンクの死骸をぶら下げ、無意識なのか、それをぐるぐると振り回していた。
「お前さん達、元気か?」
ハグリッドは教職員テーブルの方に向かう途中、立ち止まって熱心に声をかけてくれた。
「おはよう、ハグリッド。ご機嫌だね」
「おうよ。お前さん達が、俺のイッチばん最初の授業だ!昼食のすぐあとだぞ!五時起きして、なんやかんや準備してたんだ----うまくいきゃいいが----俺が、先生----いやはや----」
いかにも嬉しそうに笑い、スカンクを振り回したままハグリッドは教職員テーブルに向かって行ってしまった。
「楽しみだなぁ、ハグリッドの授業。どんな魔法生物を見せてくれるんだろう」
「何の準備をしてたんだろう」
楽しみにしているミラと違って、ロンは少し心配そうだった。
生徒たちがそれぞれ最初の授業へ向かい始め、大広間は次第に閑散としてきた。
「僕たちも行ったほうがいい。ほら、『占い学』は北塔の天辺でやるんだ。着くのに十分はかかる----」
四人は急いで朝食を済ませると、フレッドとジョージに別れを告げると、来た時と同じ様に大広間を横切って授業に向かった。スリザリンのテーブルのそばを通りかかると、ドラコがまたもや気絶する振りをしてみせた。どっと笑う声が、ハリーが玄関ホールに入るまで追い掛けてきて、ミラは大広間を出る前に、振り返ってドラコを睨み付けた。