第51章 占い学
「本当に、本当に何もなかったんだね?」
「何もなかった。ぶつかられて鼻血が出ただけ」
真剣な顔で聞き出そうとしているハリーに、ミラは目を逸らさずに言い切った。
「フレッドとジョージもいい加減にしないと、うっかり魔法薬をその朝食に入れるかもしれない」
「おぉ、怖い怖い」
「怒った顔も綺麗だよ、ミラ」
「…」
ミラの眉間に皺が寄ると、フレッドとジョージはハリーを励まそうと話しかけた。
「気にするなよ、ハリー。今度のクィディッチの第一戦はスリザリンとだ。マルフォイがどのくらい幸せでいられるか、拝見しようじゃないか」
「グリフィンドール対スリザリン。シーズン開幕の第一戦だだ、覚えてるか?」
フレッドとジョージが言うと、ハリーはほんの少し機嫌が良くなった。去年の試合で、ドラコに勝ったことを思い出したのだろう。
「わぁ、嬉しい。今日から新しい学科が始まるわ」
と、ハーマイオニーは幸せそうな声を上げた。ミラはハーマイオニーの新しい時間割りを覗き見ると、それがおかしいことに気が付いた。
「ハーマイオニー、その時間割りおかしくないか?一日に十科目もある」
「大丈夫よ。マクゴナガル先生と一緒にちゃんと決めたんだから」
ミラはもう一度ハーマイオニーの時間割りに目を通した。ある日の午前中に九時から始まる学科が三つもあった。『占学』と『マグル学』そして『数占い』。ミラは目がおかしくなったのかと目を擦ってみても、ハーマイオニーの時間割りは変わらないままだった。
気になったロンが体を乗り出してハーマイオニーの時間割を覗き見た。
「君が優秀なのは知ってるよ、だけど、そこまで優秀な人間がいるわけないだろう。三つの授業いっぺんに、どうやって出席するんだ?」
「バカ言わないで。一度に三つの授業に出れるわけないでしょ」
と、ハーマイオニーはそっけなく答えて、時間割りをカバンに入れてしまった。