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【HP】怪鳥の子

第50章 新学期


 パラパラと、あまり気のない拍手が起こる中、ミラ以外列車で同じコンパートメントに居合わせたハリー、ロン、ハーマイオニー、ジニー、ネビルが大きな拍手を送った。

 ルーピン先生は、最高級の上衣(ローブ)を着込んでいる先生方のあいだで、一層みすぼらしく見えた。どうしてあのような格好なのだろうかと、ミラは不思議に思った。

「スネイプ見てみろよ」

 ロンがハリーに囁いているのが聞こえ、ミラもハリーと同じようにスネイプ先生を見てみると、スネイプ先生はルーピン先生を睨んでいるように見えた。

「今年も『闇の魔術に対する防衛術』の先生になれなくて怒ってるって感じじゃない」
「うん…」

 ミラもこっそりハリーに耳打ちした。怒りではなく、憎しみがこもっているような表情は、ハリーに向けられている時に見かけるものだった。

「もう一人の新任の先生は」と、ルーピン先生への拍手が終わってから、ダンブルドア校長が続けて言った。

「ケトルバーン先生は、『魔法生物飼育学』の先生じゃったが、残念ながら前年度末をもって退職なさることになった。手足が一本でも残っているうちに余生を楽しまれたいとのことじゃ。そこで後任じゃが、嬉しいことに、ほかならぬルビウス・ハグリッドが、現職の『領地の番人』役に加えて教鞭を取ってくださることになった」


 ミラたち四人は驚いて顔を見合わせた。スネイプ先生がルーピン先生を睨んでいることなんてどうでもよくなり、ミラとハリーは身を乗り出して大きな拍手を送った。特にグリフィンドールの生徒達からの拍手は、どの寮よりも大きかった。ハグリッドは夕日のように真っ赤な顔をして、自分の巨大な手を見つめて嬉しそうにほころんでいた。

「そうだったのか!噛み付く本を教科書指定するなんて、ハグリッド以外いないよな?」

 ロンがテーブルを叩きながら叫んだ。ミラもなるほどと納得した。まだ開けずに袋の中に押し込めてある教科書は、トランクの奥に眠っている。拍手が小さくなっていく中、四人は最後まで拍手し続けた。
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