第50章 新学期
マダム・ポンフリーは不満の声を上げながらハリーの前髪をかきあげて、額の熱を測り、脈を取っていた。ハリーの診察が終わると、マダム・ポンフリーはミラの前に移動して、ハリーと同じように熱と脈の確認をしてくれた。
ハーマイオニーはマクゴナガル先生と時間割の話があると言うことで、ミラとハリーは事務室の外で待つ事になった。マダム・ポンフリーも医務室へと戻っていった。
「新学期早々大変だ」
「君はまだマシさ、見たろ、マルフォイの奴」
ハリーは苦々しい顔をした。
「ハリー、気にしすぎると余計に揶揄われる。それに、ディメンターが乗り込んで来た時に、マルフォイなんか悲鳴をあげて逃げて来たよ。真っ暗でほとんど見えなかったけど、灯りがついた時にマルフォイだってわかった。あのビビリようと言ったら傑作さ」
と、ミラはハリーが少しでも元気になればと、コンパートメント内で起こったことは伏せつつも話した。ハリーはほんの少しだけ元気を取り戻したように見えた。数分もすると、ハーマイオニーがとても嬉しそうな顔をして事務室から出てきた。その後ろからマクゴナガル先生も出てきて、四人で大広間へと戻った。
大広間に着くと、組分けの儀式を見逃してしまったようだ。マクゴナガル先生は教職員テーブルの自分の席へと急ぎ、三人は反対方向のグリフィンドールのテーブルに、できるだけ目立たないようにして歩いて行った。それでも周囲の生徒達が振り返って、ハリーを指差す生徒が何人もいた。ミラはそんな生徒を睨み付けると、睨み付けられた者はサッと目を逸らして前に向き直った。