第49章 吸魂鬼(ディメンター)
コンパートメントの窓から、雨が激しく降っていた。さらに北へ進むと激しさも増し、窓の外が見えないほどだった。コンパートメントと通路が段々と暗くなってくると、ランプがようやく灯った。
更に空の色が真っ暗になる頃になると、列車が速度を落とし始めた。
「もう着く頃だ。もう腹ペコだよ、宴会が待ち遠しい----」
「まだ着かないはずよ」
「じゃあなんで止まるんだ?」
時計を確認したハーマイオニーがわからない様子で首を振った。列車はさらに速度を落とすと、ミラは立ち上がってコンパートメントの扉を開けて通路の様子をうかがった。自分と同じように、あちこちで不思議そうな顔をした生徒たち見えた。
そして遂に列車はガクンと止まると、なんの前触れもなくあかりが一斉に消え、周囲が急に真っ暗闇になった。
「----ちょっと様子を見に行ってくる。三人はここにいて」
「真っ暗で危ないよ、もしかしたらすぐに明かりがつくかもしれない」
「大丈夫だって。暗い所は慣れてるから」
ハリーが咄嗟にミラの腕を掴んだが、ミラは猫の様にスルリとハリーの手を抜けて、真っ暗な通路を歩いて行った。ぶつからないように片方の手は壁に添えながら、ゆっくり前へとミラは進んでいった。進んでいくと、慌てたネビルとぶつかり、ミラはイライラした声でネビルに怒鳴った。
「こんな真っ暗なところで走るな!」
「その声…ミラなの?急に真っ暗になってどこに戻ればいいかわからなくなったんだ」
「----壁に手をついて、ゆっくり一番後ろのコンパートメントへ行って。明るくなるまでハリー達といたらいい」
ミラはため息をこぼしてぶっきらぼうにネビルに言うと、自分はさらに前へと進んだ。次にぶつかりそうになったのはジニーだった。だいぶ目が暗闇に慣れたおかげでぶつからずに済んだ。
「ああ、ミラ!あなたなのね!ロンを知らない?」
「それなら一番後ろにいる。ネビルもそこに行くようにさっき言ったばかりだ」
「あなたはどうするの?」
「もう少し前にいって様子を見に行く。何もなかったら戻るつもりだけど」
「少し先にフレッド達がいるわ」
「わかった」