第49章 吸魂鬼(ディメンター)
話しはホグズミードに変わり、ロンがうっとり夢を見ような顔で『ハニーデュークス』のお店の話をし出した。
「なーんでもあるんだ----激辛ペッパー、食べると、口から煙が出るんだ----それに、イチゴムースやクリームがいっぱい詰まってる大粒のふっくらチョコレート。それから、砂糖羽ペン、授業中にそれを舐めていたって、次に何を書こうか考えているみたいに見えるんだ----」
「それは食べてみたい」
珍しくミラも興味津々にロンの話しに耳を傾けた。つまらない魔法史の授業の合間に、砂糖羽ぺんを舐めるのもいいかもしれないと思った。ハーマイオニーはホグズミードの歴史を話し始めたが、ロンはそんな話しは聞いていなかった。
「ちょっと学校を離れて、ホグズミードを探検するにも素敵じゃない?」
「行けるのは週末だったっけ?今度四人で行こうよ」
ミラもワクワクした様子でいると、ハリーの沈んだ声がした。
「そうだろうね。見て来たことを、僕に教えなきゃならなくなる」
「----ハリー、もしかして…」
ミラは暗い顔のハリーを見て、すぐに何がハリーを暗くさせているかわかった。
「どう言うこと?」と、ロンが不思議そうな顔をしていて、ミラはロンの脛を蹴り上げた。
「あいたっ!なんだよいきなり!」
ロンの鈍さにミラは静かに睨み付けた。
「…行けないんだ、僕。ダーズリーおじさんが許可証に署名しなかったし、ファッジ大臣も署名してくれないんだ」
「そんな…許可してもらえないって?そんな、そりゃないぜ----マクゴナガル先生か誰かが許可してくれるよ」
ようやくロンも理解したのか、信じられないと言った顔をしていた。ハリーは力なく笑った。グリフィンドールの寮監であるマクゴナガル先生は、とても厳しい先生だ。サインなんてするはずがないとミラは思った。
「じゃ、じゃあフレッドとジョージに聞けばいい。あの二人なら、城から抜け出す秘密の道を全部知ってる----」
「ロン!ブラックが捕まってないのに、ハリーが学校からこっそり抜け出すべきじゃないわ!」