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【HP】怪鳥の子

第49章 吸魂鬼(ディメンター)


「ミラはロングが似合うから切るなんて勿体無い!」
「ショートヘアーも似合ってたけど、ハリーと見分けがつかなくなる」

 などと、クスクス笑って部屋を出て行ってしまった。これから主席バッジを無くしたパーシーとロンの部屋に行くのだと面白おかしく笑って部屋を出て行った。フレッドの手にあった主席バッジは、『石頭』に帰られており、ミラもニヤッと笑ってしまった。


 翌朝、魔法省から車が手配されることを夕食の席で知っていたため、アーサーが「車がきたよ」という知らせでみんなが漏れ鍋の外へ出た。最初は気にも留めていなかったが、駅についてからもアーサーがハリーの隣にずっとついていたため、ミラは首をかしげた。まるでハリーを護衛しているような様子のアーサーに、ミラは何かあったのではと思った。



 『9と4分の3番線』には、ハーマイオニーと一緒に入った。見慣れたホグワーツ特急に、魔女や魔法使いが子供たちを見送り、列車に乗せていた。前のコンパートメントはほぼ満席で、後部車両の方まで歩いてやっとほとんど誰もいない座席を見つけることができた。

 そこへ荷物を積み込んでから、ウィーズリー夫妻に別れを告げるためにもう一度外へ出た。モリーは子供達全員にキスをして、ハーマイオニーの後にミラとハリーも同じように頬にキスされた。どう反応していいかわからないミラは顔を逸らしながらも、モリーにまた抱きしめられた時は悪くないと思っていた。

 ホグワーツ特急が動き出すまで、ハリーとアーサーが何か話しているのをミラは見かけた。列車がようやくスピードを上げ始めた時、ハリーが三人に向かって囁いた。


「君達だけに話したいことがあるんだ」


 四人は誰もいないコンパートメントを探して歩いたが、どこもいっぱいで中々見つからなかった。最後尾にただ一つ空いたところがあったが、乗客が一人いた。男の人が一人窓側の席でぐっすり眠っていた。あちこちに継ぎのあたった、かなり見窄らしいローブをまとっていた。まだかなり若いのに、明るい茶色の髪は白髪混じりで、疲れ果てて病んでいるようにも見えた。
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