第49章 吸魂鬼(ディメンター)
ホグワーツ特急は生徒専用の列車であり、車内で見かける大人は、食べ物をワゴンで売りに来る魔女だけだったのもあり、かなり珍しい乗客だと四人は思った。
「この人、誰だと思う?」
ロンは窓から一番遠い席を取り、ハーマイオニーとミラは男の人の向かいの席に座り、ハリーはその男の隣に座った。ロンは声を潜めて三人に訪ねた。
「ルーピン先生よ」
「どうして知ってるんだ?」
「カバンに書いてあるわ」
ハーマイオニーが男の人の頭の上にある荷物棚を指さした。くたびれた小ぶりの鞄は、きちんと繋ぎ合わせた紐でぐるぐる巻になっていた。その鞄の片隅に『R・J・ルーピン教授』と、薄れかけた文字のスタンプが押されてた。
「この人、今度の『闇の魔術に対する防衛術』の先生だよ、きっと」
ミラは静かにジッとルーピンの顔を見て言った。
「ふーん…まぁ、この人がちゃんと教えられるならいいけどね」
「今年はどうなることやら」
一年生、二年生の時も、どちらも一年で先生が辞めてしまう、呪われた学科という噂が広がっていた。ロックハート先生はただのペテン師だったが、クィレル先生はヴォルデモートの手先だった。この二年、ミラとハリーは命の危機にあったものの、生き残ることができた。
今年こそまともな教師であることをミラは願った。
やっとハリーの本題にになると、ハリーは昨夜にウィーズリー夫妻が言い合っていたことと、アーサーがハリーに警告したこと全部を三人に話した。ハリーがシリウス・ブラックに狙われていると知ったミラは、目元に手を当てて大きなため息をついた。
ロンは愕然としていて、ハーマイオニーは両手で口を押さえていた。
「そんな…シリウス・ブラックが脱獄したのは、あなたを狙うためですって?ああ、ハリー----本当に、本当に気をつけなきゃ。自分からわざわざトラブルに飛び込んで行ったりしないでね。ね、ハリー…」
「自分から飛び込んで行ったりするもんか。トラブルがいつも僕に飛び込んで来るんだ」
「言えてる」
「ミラ、あなたもよ」
ハーマイオニーは心配でたまらないとミラを見ていた。