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【HP】怪鳥の子

第48章 内緒のアイスクリーム


 アイスクリームを食べ切る頃には、本屋のフローリッシュ・アンド・ブロッツ書店が見えてきた。入り口には誰も経っていなかったが、とっくに三十分以上は過ぎている。ルシウスと鉢合わせる可能性が高いと思ったミラがドラコを見ると、ドラコもそう思ったのか、ほぼ同じタイミングで顔を見合わせていた。

「遅れてないといいけど」
「多分大丈夫だ、箒を見ていたとでも言うさ」

 ファイアボルトが一瞬ミラの頭の中をよぎった。ハリーと一緒に歩くたびに、あの箒に取り憑かれたハリーをひっぺがすのに何回苦労したことか----ドラコとクィディッチの話をちゃんとしたことはないが、ドラコも中々のクィディッチ好きであることは知っていた。箒屋の前を通らなくてよかったとミラはこっそり思った。

「僕がアイスクリームを奢られたこと、誰にも言うなよ」
「はいはい、しつこいなぁ。言わないし、誰にも言えないよ」
「…ならいい」

 やっと納得したのか、ドラコは本屋へ向かって歩き出した----と思ったら、数歩歩いたドラコはミラに振り返った。ニヤリと、何か不穏な笑みを浮かべていた。

「ああ、忘れていた。今年こそ静かな学校生活を送れるといいな。できたらの話だが、余計なことには首を突っ込まない方がいいぞ」

 それだけ言うと、ドラコはさっさと本屋の中へ入ってしまった。ミラは、さっきまで温かった気持ちがスッと覚めてしまったような気がした。いったいドラコは何を知っているのだろうか。自分のことか、それともハリーのことを指して言っているのか。
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