第48章 内緒のアイスクリーム
ドラコは渋々ミラからアイスクリームを受け取った。下はチョコレートの色で、上は淡い白色に所々黒いクッキーのようなものが見えるアイスクリームだった。食べても大丈夫かと、ドラコはアイスクリームを見てからミラを見ると、ミラは美味しそうにアイスクリームを食べていた。
「いくらだ?」
「私の奢りだからいいよ」
「僕はマルフォイ家の息子だ。他の人に奢られるなんて----」
難しい顔で文句を言い出すドラコに、ミラはめんどくさい奴だと思った。
「私が食べたかったから買ったんだ。それに、あそこのアイスクリーム屋さんはハリーとよく行ってる。もし私とドラコが一緒に行ったらハリーに知られるかもしれない」
ドラコと友達という関係は、誰にも知られてはいけない。家族のように思っているハリーにでさえ言えないことだ。ドラコが自分のことをどう思っているかはわからないが、今こうして、わざわざ時間を作って自分といること、父親のルシウスには黙っていることを考えると、ドラコもきっとこの関係を悪いものとは思っていないとミラは考えていた。
「----なんで、わざわざ僕にアイスを奢るんだ?」ドラコはアイスを一口食べながら尋ねた。
上の段はクッキアンドクリーム、下はチョコミント味だと分かった。ダイアゴン横丁の賑やかな通りを歩きながら、ドラコは人に奢られるという経験が初めてで、少し戸惑いを隠せないでいた。
「時間を作ってくれたお礼。それに、友達だからね」
ドラコはその言葉に驚きを感じたが、顔には出さなかった。ドラコにとって「友達」という存在は、今までとは違う意味を持ち始めていたが、それを認めるのは少し恥ずかしかった。
「別に、退屈しのぎにはちょうどいいと思っただけだ」
と、ドラコはそっけなく言ったが、内心ではこそばゆい気持ちに必死に蓋をした。ミラはフレッドとジョージのような軽快な口調で「まあ、これからもよろしくってことさ」と、美味しそうにコーンを齧った。