第48章 内緒のアイスクリーム
二人はその後もダイアゴン横丁を歩きながら、たわいもない話しをしていると、ミラが突然「あ」と、思い出したように声を漏らした。
「手紙でも書いたけど、ドラコの誕生日はいつ?」
「今それを聞くのか?」
「今でも後でも変わらないだろ。で、いつ?」
「…六月五日だ」
「めっちゃ過ぎてるじゃん」
誕生日のお礼に、何か返せればと考えていたミラはため息をついた。知らなかったとはいえ、ドラコに強引に自分の住所と誕生日の日付を書いた紙を押し付けたため、少し罪悪感を覚えた。
そして目的の場所に近付くと、ミラはピンと閃いた。
「ドラコ、ここでちょっと待ってて」
「なんだ、急に」
「いいからいいから」
ミラはドラコに壁際で待つように言うと、駆け足で人混みの中に紛れてしまった。やれやれと、ドラコは壁に背をつけてミラを待つことにした。待たされることには慣れているが、まさかミラにまで待たされるとは思わなかったとドラコは思った。
五分ほど経った頃、ミラが両手にアイスクリームを持って戻ってきた。
「お待たせ!これドラコの分」
「なんだ、これは」
「アイスクリーム。知らないのか?」
「知ってるに決まってる!」
コーンの上に二色の違うアイスクリームがドラコの前に差し出されると、ドラコは理解できないと言った顔でミラを見ていた。
「早く、ほら、溶けてきてる」