第48章 内緒のアイスクリーム
「…」
ミラはハリーに話すべきか一瞬戸惑った後、口を閉ざして朝食を食べることに戻った。とてもじゃないが、孤児院でミス・メアリーやヒルダに対して闇の魔術を使いたいと思ったことなど言えなかった。ハリーもダーズリー家を恨んではいるが、きっと自分が思うようなことまではハリーはしないとミラは分かっていた。どんなに恨んでいたとしても、ハリーは優しいから----。
朝食を終えたあと、一度部屋に戻ってダイアゴン横丁に出る準備をした。ハリーは既に昨日も行ったらしく、クィディッチ専門店に飾られていたファイアボルトという箒が如何にすごいか、朝食の間中ずっと話していた。まずはグリンゴッツ銀行で必要なお金を取り出してから、学校に必要な物を買いつつ、ハリーとミラは色々な店に寄り道した。
ミラは夢のようだと思った。時間を気にすることなく気になった物に足を止めて眺めることも、フローリアン・フォーテスキュー・アイスクリームでどれを食べようか悩むことも、どの魔術書を買うか考えることも、圧倒的自由な時間にミラは始終笑顔だった。
そしてハリーが熱く語っていたファイアボルトを目にすると、どうしてハリーが夢中になるのかすぐに分かった。一目見て素晴らしい箒だと分かった。見た目も最高に素晴らしいが、スピードが十秒で時速二百四十一キロまで加速できる上、ブレーキの性能も抜群だと箒を飾ってある説明書に書かれていた。値段は書かれていなかったが、相当の金貨を支払わなければいけないことは一目瞭然だ。
流石にハリーの誕生日プレゼントに、ファイアボルトは送れないとミラは断念した。他にいいものはないか、ミラは頭を悩ませた。ハリーは既にハーマイオニーから箒磨きセットをもらっていた。ハリーがファイアボルトに夢中になっている間、ミラはクィディッチ専門店の中に入り、何かいいものはないか店内を見回した。