第48章 内緒のアイスクリーム
次の日、ミラは誰にも起こされることのなく、いつもより遅くに目が覚めた。
朝食を取るためにミラはハリーの部屋訪ねると、いつもボサボサの髪をしているハリーの髪の毛は寝癖だらけだった。ハリーの着替えを待ってから、二人は下に降りた。下の階でそれぞれ朝食を注文すると、雑に置かれた新聞紙を引っ掴んで、二人は一緒に読み進めた。
新聞の一面にはシリウス・ブラックという囚人がデカデカと乗せられていた。夏休みの間、新聞はもちろんテレビも孤児院で見せてもらえないミラは、初めてシリウスの存在を知った。ハリーもナイトバスの中で新聞を見かけるまでは、全く知らなかったという。
シリウス・ブラックという男は、アズカバンの要塞監獄の囚人であり、もっとも凶悪であると新聞に書かれていた。十二年前、たった一度の呪いで十三人のマグルを殺したということ。またあのような大虐殺が怒るのではないかと、大人たちは恐れているようだった。何故なら、シリウスはあのヴォルデモートの腹心の部下だったと、ハリーはバスの中で聞いた話をしてくれた。
写真に写ったシリウスは目は窪み、頬をこけ、蝋のように青白い顔をしていた。ミラはチラリとハリーを盗み見た。ヴォルデモートが関係する事件には、いつもハリーが巻き込まれることを危惧していた。また今年も何か起こるのではないかと、ミラは心配半分と、次こそは返り討ちにしてやると息巻いていた。
「犬を見た?」
「うん、暗くてよく見えなかったけど、普通より大きかったと思うけど、多分野良犬だ」
朝食が届き、新聞を読むのをやめて食事をはじめて暫く、ハリーは周りの人に聞こえないようにこっそりミラに言った。
「びっくりしてトランクにつまずいた時にナイトバスを知らずに呼んでて、そしたらその犬はいなくなってたんだ」
「ふーん」
ミラは食事をする手を止めて、少し考えながら話し始めた。
「何もなかったらいいけど…わかった、心に留めておくよ」
「ロンやハーマイオニーたちには黙ってて。変な心配はかけたくないんだ」
「オッケー。もしその犬がハリーを襲ってきたら、私の魔法でぶっ飛ばしてやるさ!」
「頼もしいよ」
ミラはハリーに微笑むと、ハリーは少し安心したように見えた。